初夏のような暑さが続いたかと思えば、突然の雷鳴。
「驟雨は日を終えず。」といいますが、自然の気まぐれにはなすすべがありませんね。
それでも、人間には「転ばぬ先の杖(知恵?)」があります。
鞄の底に忍ばせた一本の傘で、小さな抵抗を試みている今日この頃です。
6月の勉強会は、5月の山田博夫先生のNLPと仏教理論に続き、文教大学教授の吉田悟先生にREBTと仏教理論の関連性についてのご講義をいただきます。
心理学と仏教の接点を追及する当勉強会としましては、願ってもない連続講義となります。
会員の皆様の多数のご参加をお待ちしております。
なお、5月以降、勉強会は第3土曜日午後4時からとなっておりますので、ご注意ください。
せばな・石橋清人
※勉強会終了後、食事会を予定しております。
ご都合のよろしい方はご参加ください。
※勉強会発表者の募集について
本メールの最後に詳細を記載いたしましたので、ご参照ください。
第107回「仏教と心理学等の接点を追求する勉強会」
テーマ: 「REBTと仏教の類似と差異: デモンストレーションによる体験的理解の試み」
講 師:文教大学教授 吉田 悟先生
プロフィール:
・文教大学 人間科学部 心理学科、大学院人間科学研究科 臨床心理学専攻(教授、博士(学術))
日本人生哲学感情心理学会(J-rebt; Japanese Association for Rational Emotive Behavior Therapy)の理事
学会誌「REBT研究」の編集代表、学会認定インストラクター
*プロフィール詳細は下記サイト参照
http://gakujyo.bunkyo.ac.jp/Profiles/11/0001043/profile.html
http://www.bunkyo-human.jp/html/psychology_teacher.html
http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/human-in/human-in9/outline/clinical/clinical-teather.html
講義要旨:
REBTは、仏教と理論・実践が似ているという指摘が、国内外でなされてきた。さらに、REBTの創始者であるアルバート・エリス(Albert Ellis)も、そのように論じた。この勉強会では、3部構成で、この指摘を確認しようと思う。
最初に、REBTの基本的前提、目標、ステップ、主要技法などを簡単に整理することから始める。REBTは心理療法として、CBT(認知行動療法)に区分され、感情問題に主にエビデンスがある。REBTは、感情を誘因とした学習モデルというCBT的側面、REBT特有の仮定(①強い願望は絶対的要求にエスカレートする傾向が、人間に生得的に備わっている、②絶対的要求は明らかに調整し変える能力がある)から構成されている。
第2は、短時間ではあるが、デモンストレーションを行う。なぜならば、REBT実践における論駁に関して、誤解、間違いが多いからである。REBTでは論駁(思考が変われば感情が変わることを理解すること、REBTでは「B-C関係」と呼ぶ)を重視し、REI(Rational Emotive Imagery)を行う。REIは、教示としてのステートメント(セルフトーク)と感情を連合させる学習である。つまり、REBTの実践において、感情の変化がセルフトークを変える誘因であるので、特定のA(出来事)における感情体験が鍵となる。デモンストレーションでは、そのことを体験的に理解することに焦点をあてる。
最後に、仏教の代表的な考え方に基づいた論駁、例えば、一切皆苦、諸行無常、諸法無我に関する論駁、を試みる。すなわち、四法印に基づくステートメントとそれに反するステートメントを試作して、特定の場面における感情の相違を体験する。さらに四法印と、REBTが重視する「無条件の自己受容(USA; Unconditional Self-Acceptance)や高い欲求不満耐性(HFT; High Frustration Tolerance)をはじめとするラショナルな哲学との共通性と差異を検討する。
(発表者からのメッセージ)
私は、武蔵野大学大学院 通信教育部 仏教学専攻で学びはじめて、現在、3年目です。4月からケネス先生の「浄土教特講」の通学授業を履修しています。ご教示、フィードバックよろしくお願いします。
4月に刊行された心理学教科書の一章に、REBTの基礎について、「ビジネス・コーチング心理学」というタイトルでまとめました。今回の話の基礎部分になりますので、ご一読下さい。原稿ファイルを添付でお送りします。
また、REBTの基礎理解として、事前に押さえておきたい方は、下記2つのテキストがお勧めです。(1)には学会認定インストラクターで、龍谷大学(仏教学専攻)で博士号をとられた井上博文さんが書かれた「仏教」のセクションが含まれています。(1)(2)ともにREBTのセッション事例が掲載されています。実践例を知る手がかりになると思います。(2)は内外で活用されているトレーニング・テキストです。著者のドライデン教授とデジサッピ教授はカウンセリング心理学、REBT-CBT分野の世界的権威です。
(1)菅沼憲治・日本人生哲学感情心理学会(編)(2013).人生哲学感情心理療法入門:アルバート・エリス博士のREBTを学ぶ 静岡学術出版
(2)Dryden, W., & DiGiuseppe, R. (1990). A primer on rational-emotive therapy. Champaign, Il: Research Press.(菅沼憲治(訳)(1997). 実践論理療法入門:カウンセリングを学ぶ人のために 岩崎学術出版社)
6月14-15日に、聖徳大学において、日本人生哲学感情心理学会の大会が開かれます。下記サイトから、ちらしがダウンロード可能です。
REBTのトレーニングを受けたことのない方は、6月15日(日)に開催される「学会認定REBT入門コース研修 9:30~16:30」がお勧めです。参加ご希望の方は、学会HPから申し込みが可能です。また、学会事務局にお問い合わせ可能です(ちらしに連絡先メールアドレスが記載)。
日 時:6月21日(土): 4時~6時(当日3時30分から入室できます)
場 所:武蔵野大学・武蔵野キャンパス 仏教文化研究所6号館5階
東京都西東京市新町1-1-20
連絡電話番号:042-468-3145
参加費:無料(申し込み不要)
(学会本部。質問等はこちらに、当日3:30PMまでにお願いします。)
※ 勉強会発表者募集次第
以下は、基本的な発表の次第です。
発表は4時から1時間程度で、その後1時間で参加者の小グループごとでの意見交換をしていただきます。
ご発表いただける方には具体的にご相談させていただきます。
発表内容その他について疑問などありましたら事務局までお尋ねください。
勉強会の大まかなテーマは次のとおりです。
・心理学(心理療法等を含む)と仏教に関連する発表(心理学・仏教単独でもよい)
・上記に関する本の紹介など(講読)
※ご参考までに文末に過去数回の発表のテーマを紹介させていただきます。
ご連絡をお待ちしております。
事務局・せばな(石橋清人)
連絡は以下のメールアドレスへ
又は
○過去の発表テーマ
第90回・91回 「アメリカ仏教と心理学の遭遇-現代社会を省みて」
第92回 「人間の潜在力-個人尊重のアプローチ」
第93回 唯識思想における自我構造
第94回 コントロール方略の発達-日米の文化差と老年的超越
第95回 聲のコスモロジー(農民芸能と宗教 無境界のはざまから)
第96回 精神科医 マーク・エプスタイン博士の人物と研究等紹介
第97回・98回・99回 講読 マーク・エプスタイン「ブッダのサイコセラピー」
第100回 日本における仏教と心理学の協力の歴史と発展―禅心理学を中心に―
第101回 仏教心理学の指向性orientedについて
―ダンマセラピーの理論と技法の視点から―
第102回 禅の基礎
第103回 初期仏教(原始経典)入門
第104回 依存症の治療におけるマインドフルネス瞑想の導入
-仏教的ルーツと未来の意味合い-
第105回 中年期にある人の自己老後像と関連要因の質的研究
-積極型と消極型、反面教師型の対比から-
第106回 心理療法NLP(神経言語プログラミング)と仏教理論の統合化について
(その他のテーマ)
○精神保健福祉士のしごとーソーシャルワークの視点からー
○自己理解から他者理解へ ~性格タイプの理解~
○(購読)フロイトを読む
○フォーカシングって何(ワークショップの試み)
○(購読)安藤治著「心理療法としての仏教」