学会員の皆様へ
『小さなモモにできたこと、それはほかでもありません、相手の話を聞くことでした。
(中略)モモに話を聞いてもらっていると、ばかな人もきゅうにまともな考えが浮かん
できます。(中略)どうしてよいかわからずに思いまよっていた人は、きゅうに自分の
意志がはっきりしてきます。引っ込み思案の人には、きゅうに目のまえがひらけ、勇
気が出てきます。不幸な人、なやみのある人には、希望とあかるさがわいてきます。』
エンデ作「モモ」(岩波書店)より
作品の中で、モモのところに出かけて行って考えをうちあけた人が「おれはおれなん
だ、世界じゅうの人間の中で、おれという人間はひとりしかいない、だからおれはお
れはおれなりに、この世の中で大切な存在なんだ。」と理解できるようになった。そ
のようにモモは人の話が聞けた、とエンデは書いています。
皆様も中学生(あるいは小学生)のころに読んだことがあるかもしれません。
まさに小さなカウンセラーですね。資格全盛の時代にあっても、モモのように素直に
かつ注意深く人の話を聞ける人はなかなかいないのではないでしょうか。私もいちど
モモのような少女にあってみたいと思います。
さて、7月の勉強会は、武蔵野大学非常勤講師の原山建郎先生に「あたま(マインド)の
呼吸、からだ(ハート)の呼吸」と題してご講義いただきます。
いよいよ暑さも本格的となりますが、頭の中だけはクールに知的に、共に学びません
か?
石橋清人(せばな)
※ 勉強会終了後、食事会を予定しております。
ご都合のよろしい方は、ぜひご参加ください。
※ 勉強会発表者の募集について本メールの最後に詳細を記載いたしましたので、ご参
照ください。
第116回「仏教と心理学等の接点を追求する勉強会」
テーマ: 「あたま(マインド)の呼吸、からだ(ハート)の呼吸」
講師: 武蔵野大学非常勤講師 原山建郎先生
プロフィール:
早稲田大学商学部卒。主婦の友社勤務を経て、武蔵野大学などで非常勤講師を務める。
今春まで、東洋鍼灸専門学校で「社会学(いのちとからだの社会学)」、「コミュニケー
ション論(60兆個の細胞社会の会話)」を講義。西野流呼吸法塾生。一般財団法人東方
医療振興財団評議員。
講師からのメッセージ:トピックは「瞑想と呼吸」です。
表題に掲げた「あたま(マインド)の呼吸」からは、頭脳知(the workings of the
brain)にコントロールされた呼吸を、「からだ(ハート)の呼吸」では、身体
知(physical intelligence)による意志下の呼吸を考えていきます。
また、瞑想をさぐる手がかりに、今田求仁生氏の「化樹(げじゅ)の行」(立禅)、柳澤
桂子氏の「私たちは星のかけらからできています」、松岡正剛氏の「生命の由来と将
来」をご紹介します。
そして、簡単な「正座呼吸( 軟酥の法 )」 「足芯呼吸(天遊)」のエクササイズで終了
です。
日 時:7月18日(土) : 4時~6時(当日3時30分から入室できます)
場 所:武蔵野大学・武蔵野キャンパス 6号館5階 仏教文化研究所
東京都西東京市新町 1 - 1 - 20
連絡電話番号:042-468-3145
参加費:無料(申し込み不要
連絡先: [email protected]
(学会本部。質問等はこちらに、当日3:30 PM までにお願いします。)
※ 勉強会発表者募集次第
以下は、基本的な発表の次第です。発表は4時から1時間程度で、その後1時間で参加者
の小グループごとでの意見交換をしていただきます。ご発表いただける方には、具体
的にご相談させていただきます。
発表内容その他について疑問などありましたら事務局までお尋ねください。勉強会の
大まかなテーマは次のとおりです。
・心理学 ( 心理療法等を含む ) と仏教に関連する発表 ( 心理学・仏教単独でもよい)
・上記に関する本の紹介など ( 講読 )
※ ご参考までに文末に過去数回の発表のテーマを紹介させていただきます。
ご連絡をお待ちしております。
事務局・石橋清人(せばな)
○ 過去の発表テーマ
第 90 回・ 91 回 「アメリカ仏教と心理学の遭遇-現代社会を省みて」
第 92 回 「人間の潜在力-個人尊重のアプローチ」
第 93 回 唯識思想における自我構造
第 94 回 コントロール方略の発達-日米の文化差と老年的超越
第 95 回 聲のコスモロジー ( 農民芸能と宗教 無境界のはざまから)
第 96 回 精神科医 マーク・エプスタイン博士の人物と研究等紹介
第 97 回・ 98 回・ 99 回 講読 マーク・エプスタイン「ブッダのサイコセラピー」
第 100 回 日本における仏教と心理学の協力の歴史と発展 ― 禅心理学を中心に ―
第 101 回 仏教心理学の指向性 oriented について― ダンマセラピーの理論と技法の
視点から 第 102 回 禅の基礎
第 103 回 初期仏教 ( 原始経典 ) 入門
第 104 回 依存症の治療におけるマインドフルネス瞑想の導入-仏教的ルーツと未来の意味合い-
第 105 回 中年期にある人の自己老後像と関連要因の質的研究-積極型と消極型、反面教師型の対比から-
第106回 心理療法 NLP( 神経言語プログラミング)と仏教理論の統合化について
第107回 REBTと 仏教の類似と差異: デモンストレーションによる体験的理解の試み
第108回 自己が自己を知るということ-仏教心理学の一大テーマ
第109回 仏教と現代アメリカにおける精神療法:その少なからぬ影響力
第110回 QOLを高める全人的視点と仏教・看護
第111回 ティク・ナット・ハン師の軌跡-マインドフルネスとインタービーイングの教え
第112回 アメリカにおけるマインドフルネス・ブーム―日本を含む現代社会への影響とその意義
第113回 心理療法における瞑想とダンマ
第114回 密教の瞑想について
第115回 「座る。感じる。」座禅体験