通信#166 大会参加のお勧め 及び 大会基調講演の要旨

通信#166 大会参加のお勧め 及び 大会基調講演の要旨

学会員各位

1)多くの方のご参加を期待しています。割引大会費の締切日である11月30日が迫って
まいりました。大会参加希望者は、ONLINE登録でお願いします。

http://www.bukkyoshinri.org/annual-meetings

割引の対象となるには、大会費支払いも11月30日まで必要となります。1月30日が過ぎ
ても、当日の前の日である12月18日まで、ONLINE登録は可能です。大会当日の19日は、
会場で登録と支払いは可能です。

尚、基調公演・シンポジウムのみにご参加の方は、支払い(¥1,000)は、当日にお支払
いをお願いいたします。前もって振り込む必要はありません。

2) 公開基調講演 発表要旨

10:10~11:40 M2304教室
「仏教及び密教の歴史とNEW STYLE ZEN
(密教的座禅)の経験、及び、心理学的、哲学的(フッサールの現象学的)応用」
作田 勉(さくた つとむ)

日本保健医療大学理事長、教授・日本サイコセラピー学会常任理事、事務局長
Chief editor of International Medical Journal(IMJ)・元慶應義塾大学医学部 精
神神経科准教授
元世界社会精神医学会 理事長

1. 仏教の歴史について

 仏教は三大宗教の一つであることは論をまたない。今から約2500年前のシャカムニ
仏の教えであり、悟りを中心として説いたがために仏教と名付けられた。
 太古より、人類は地球の上に生息し、地球と共に歩んできたが、地球の存在の不安
定さから始まり、天変地変的自然現象に囲まれ、生に対する不安と恐怖から逃れよう
として、祈りをもってしてきた。

 そして、不安と恐怖に直面するたびに、その理を究め、識験を重ね、不安と恐怖を
一つずつ解決してきた。しかし未解決の問題も多く、古代より幾多の宗教が教えを説
き、それぞれの宗教が進化を遂げ、次の、より高度な宗教に代わって今日の三大宗教
の時代に至ったのである。

例えば、仏教はバラモン教から、キリスト教はユダヤ教から生まれ、変化し、向上し
たものである。

 道徳は、人と人との関係を説く教えであり、宗教は、人と神との関係を解く教えで
ある。と言える。宗教の意義は、安心立命を得る事にあると考えられるが、安心とは
安定した心であり、立命とは使命の確立と実践であり、人類にとっては必要なことで
ある。しかし、仏教にしろ、キリスト教にしろ、釈尊もイエスも真理の全てを語る時
間的余裕はなかったのであり、彼らがさらに多くの日時を生き続ければ、さらに多く
の教えが残されたことは間違いないことであろう。従って、あらゆる宗教は未完成の
教えであり、さらに先があることは推測できるのである。

2. 密教の歴史について

 歴史的には、密教は秘密の教え、或いは神秘世界の教えの意味であり、普通の宗教
とは異なる。普通の宗教は顕教(けんぎょう)といい、神仏からの感応を得た聖者が、
その内容を多くの人々に教えとして説いて一宗を立てたものである。イスラム教、ユ
ダヤ教、キリスト教、仏教、等がそれである。

 密教は神自らの教えであり、最も高度な教えであると言えると考えられるが、密教
の始まりがどこから始まったかというと、釈尊、即ち、釈迦牟尼仏に始まる。釈尊は
人々に説法するに当たり、当初は、一般社会のことを話され、それが阿含経となった。
また、御本人の修行記を語られ、それは華厳経となった。次に、人間の平等性の大切
さを説かれて、方等経となり、また人間には英知が必要であるということを説かれて
般若経となった。しかし、いろいろお話になったが、最後は、人間の世界には目に見
える世界だけではなくて、目に見えない世界、霊体の世界、神仏の世界、そういうも
のが実在するのだと仰せられて、それを現実に知らなければ本物は得られないとして、
多くの弟子信者を集めて涅槃会(ねはんえ)を催された。しかし、釈尊はそれだけの力
があったので、皆にそういう神秘的な世界を見せられたと考えられるが、弟子、信者
にはなかなか理解できる者は多くはなく、釈尊は何か不思議な力を使ったのではない
かと疑心暗鬼になった者たちが多かった(実際は一部にいた程度と思われるが)、と記
されている。その時の現象、その他のことも含めて、法華経ということで残っている。

従って、法華経には神秘的な内容が多いが、これは我田引水的な内容も含まれている
かもしれず、法華経が全て信じられるかどうかは、これは別のことかもしれない。し
かし、いずれにしてもその流れから、法華経は、密教の前提経と言われるようになっ
ている。釈尊の申されたとする正像末であるが、「我が教え五百年か千年は正法とし
て続くであろう。後の五百年か千年は像法時代として残り、その後は末法時代として
混乱に陥るべし、この時、神秘宝蔵の扉開かれて世は正法時代に立ち戻るべし、そし
て、真に救われるであろう」とする。

 釈尊は、将来は、密教の形で、この神秘世界を人間は直接に体験出来る。神秘世界
は存在するのであるから、多くの宗教の創始者の方々は皆それを体験してそれを人々
に説いた訳だが、そうではなくて、人々が直接それぞれの宗教の創始者と同じ体験を
していかなければ本物は掴めないと仰せられて釈尊は亡くなられた。

 その遺志を引き継がれて、その後約千二百年後に弘法大師が、釈尊が説かれた密教
の世界を現実化させようとして真言密教を開かれた。ただ、真言密教を開かれたが、
側近の者たちにはそういう神秘世界の一端を体験させることが出来ても多くの人まで
は出来なかった。密教の導入段階で真言宗は終わり、さらにその流れを継ぎ、更に約
千二百年後の今日、大玄聖人という方が生まれ、もう亡くなられて26年になり社会的
には知られていないが、密教の世界を弘める鍵である、多くの書物と、体験技法を残
された。

 私は大玄聖人より過去に教えて頂いた事があるので、意欲のある方には、New
Style Zenをここで経験して頂くことにする。ただ、密教を完成させるには、さらにも
う一回約千二百年後にまた高度な方が地上に生まれて来られて、密教を完成させると
言われている。それまでは、釈尊、弘法大師、他の方が、示された密教の世界を人々
が体験によって知る必要があると言えるであろう。

3. New Style Zen(密教的座禅)についてとワークショップ

 もし、経験してみようと思う方がいれば、私がセッティングするので、やってみて
頂きたい。又、密教は行的体験と人間性の向上が相まって前進することが大切であり、
その点では人間性の向上が強く求められる。ただ、最初から、釈尊が示した、釈尊の
涅槃会(ねはんえ)に参加した方々が経験したような密教的世界に触れることが出来る
かは、その人の過去の経験と霊的受け入れ態勢によることである。行の流れは一般的
には次のように進む。

① 単純な霊性開発の段階
② 罪障消滅の段階
③ 所願成就の段階
④ 真理探究の段階
⑤ 求道済度の段階
⑥ 無上菩提安住の段階

 1回でこれだけ進むのではなく、何回かかけて一段一段前進するものである。
 それでは、行に入るが、これにはセッティングが必要で、一般の方がやっても何も
生じない。又、指導者なくして一人でやることは慢心から行の乱れが生じることがあ
り、禁じられていることを予め述べておく。

 時間的には本来は1時間が必要であるが、今回は15分から30分余りの間を考えている。
皆さんがどの程度気持ちを正して座っていられるかどうかで、時間を決めずに適宜終
了するつもりである。

4. フッサールの現象学について

 時間が残れば、近代における極めて高度な哲学者であるフッサールの現象学につい
て話す予定である。尚、フッサールは目に見える世界の現象学を説いたのであり、目
に見えない世界の現象学は説いていないし、力が及ばなかったとも言えるであろう。