オンライン・カウンセリングの可能性と課題

オンライン・カウンセリングの可能性と課題
ダンマ・プロジェクト(カウンセリングルームのほほん)
梅津礼司
仏教心理学会 評議員
 
 コロナ禍でオンライン(ZoomやSkype、LINEのグループTV電話)を利用するでの学会、研究会、会議やセミナーやワークショップなどの開催機会が増えています。
この二年間で、カウンセリング場面もオンラインでの面接が増えています。そこで、オンライン・カウンセリングの可能性と課題について考えてました。
 
1.オンライン・カウンセリングのメリットとデメリットをクライエント様の立場で考えました。
(1)メリット
・クライエント様が相談室を往来する時間や経費が削減できる。
・クライエント様が居住地域や通勤圏内の近隣でカウンセラーを探さなくても、全国のオンライン相談室に容易にアクセスできる。その結果、カウンセラーとの相性の選択(マッチング)も容易になる。
・クライエント様の心理的・身体的・経済的ストレスも緩和されているように感じている。
・クライエント様が面接を中断したいときにすぐに通信を中断することできる。
・相談室の受付画面(フォーマット)が平易だと予約調整がしやすい。
 
(2)デメリット
・クライエント様がパソコンや携帯電話などメディア利用のスキルがないとアクセスできない。
・通信環境の変化で接続が不安定または切断される時がある。
・第三者に通信を傍受される可能性がある。
・居室の状況が覗かれるという不安がある。
・直接面談よりも疲れたり集中力が途切れたり、持続できないときがある。
・予約受付がめんどうくさいと感じるときがある。
 
2.カウンセラーのメリットとデメリットについて考えました。
(1)メリット
・オンライン・カウンセリングで全国のクライエント様とアクセスすることが可能になった。
・従来の電話相談(画像なし)よりも、微妙な表情や感情の変化を察知、観察することできる。
・オンライン・カウンセリングでは、面接時の録画を容易に記録保存・管理することができる。
・録画を観てフィードバックがしやすい。
・録画でのスパービジョンが受けやすい。(逐語録作成の負担が軽減できる)
・手元でのメモがしやすい。
・オンラインが可能だと訪問カウンセリングを軽減することができる。
 
(2)デメリット
・直接面談のときよりも、クライエント様の非言語的な微妙な変化を見逃しやすい。
・クライエント様の居室環境がクライエント様の話題が影響されやすい。(例、家族に声が漏れないように配慮している)
・カウンセラーとクライエント様の間に生じる緊張関係やクライエント様の<良くなりたい>という微妙な情熱の温度差が直接面談より幾分下がっているように感じている時がある。
・クライエント様の安心安全が相談室よりも確保しにくい。
 
3.まとめ
 オンライン・カウンセリングについて、クライエント様とカウンセラーのメリットとデメリットについて、私なりの経験則を述べてみました。
 オンライン・カウンセリングにおけるクライエント様とカウンセラーの信頼関係構築と両者の安心安全の構築においては社会的責任が問われると思います。近年、仏教者のオンライン相談も増加しているやに聞き及びます。宗教相談も含めてオンライン相談の可能性と課題について検討する必要があると感じています。日本仏教心理学会でもカウンセリング部会を設置して、仏教的カウンセリングの内実やその効果や成果を蓄積し、仏教カウンセリングの社会的責任の構築に貢献できるようなりたいと思いました。