仏教系YouTubeへの挑戦から見た仏教心理学研究の可能性

仏教系YouTubeへの挑戦から見た仏教心理学研究の可能性
仏教心理学会 会員

浄土真宗本願寺派高善寺・臨床心理士、公認心理師
お坊さんユーチューバー

武田 正文

 
令和元年大晦日からYouTubeデビューをいたしました。インターネットを使って仏教の発信をする中で気づいたこと、考えたことについてご紹介します。
 
YouTubeのタイトルは「武田正文の仏心チャンネル」で、仏教と心理学の視点から様々なテーマについて動画を作成しております。
 
チャンネルを開設したのは令和元年の大晦日、ちょうど新型コロナウィルスが蔓延する少し前というタイミングでした。
 
お寺へのお参りは年々減少し、社会における仏教の存在感が薄れることに危機感を覚え、自分にできることをしてみようとYouTubeへの挑戦を決めました。カメラの前で話すことや動画編集、サムネイルのデザインなど慣れない作業に苦労しましたが、島根県の山奥に住む私にとって世界の人と繋がって仏教の話ができるというのは非常に刺激的で、楽しくこの挑戦を続けられています。
 
チャンネル開設から1年半ほど経過したときに登録者は一万人を突破し、仏教を学びたいという人がこんなにも多くいらっしゃることに驚いています。
 
コメントの傾向を見ていると、仏教、お寺、僧侶に対して、「敷居が高い」という印象をお持ちの方が非常に多いことに気づきました。自分の抱えている悩みや苦しみを仏教に解決を求めたいというニーズは少なくないようですが、どのようにアクセスしていいのか、相談していいのかどうかが分からないとのことでした。
 
仏教心理学の役割としては、まさにここだと考えております。「分かりにくい」「難しい」という既存の仏教イメージを乗り越え、目の前にある自分の苦しみについて仏教に問うてみたいという存在にまで変わっていきたいものです。
 
そのためには、仏教を心理学的な観点から様々な角度で研究する必要があります。もともと仏教も人間の本質を鋭く洞察しているのですが、いかんせん仏教用語自体が私たちの理解から離れてしまっています。心理学は現代を生きる私たちにとっては、目の前の心理的な事象を描き理解するのに適しています。
 
私自身は、YouTubeなどの発信活動を軸にしながら、仏教心理学研究を少しずつ進めていきたいと考えております。そして、これからの時代は、一人で孤独に研究をするのではなく、たくさんの先生方と繋がりながらよりクリエイティブに積み重ねていくことができないかと夢見ています。
 
さまざまな先生方の仏教心理学にまつわるお話をYouTubeでご紹介いただき、そして、視聴者からのコメントなどをとおして、さらに次の研究の着想を得るということも可能ではないでしょうか。インターネットを使えば、その場ですぐにデータを収集することもできます。
 
まだまだアイディア段階ですが、これからの展開をワクワクしながら想像しております。ご興味持っていただいた方はぜひともお気軽にご連絡くださいませ。