通信#127 (12月学術大会 及び 関東研究会  2014年4月7日)

通信#127 (12月学術大会 及び 関東研究会  2014年4月7日)

学会員の皆様へ

1)  身延山大学で行われる第6回学術大会は、2日間に渡って行われることになりました。→ 12月13日(土)1PM~14日(日)1PM。

宿泊に関するご案内は、5月までにお伝えます。

2) 第105回仏教と心理学等の接点を追求する勉強会

桜の開花に消費税アップの話題が増幅されて、何とも騒々しい4月となりましたが、野の花々は世の喧騒をよそにゆったりと陽の光を浴びていました。


 皆さまもどちらかお出かけになられましたでしょうか?

 3月の勉強会は、イギリスのKenneth Mullen先生の講演にたくさんの方々が参加されました。

 依存症治療に仏教の瞑想法を取り入れている先生の臨床例などをご紹介いただき、仏教の応用の世界的な広がりを感じることができました。

 さて、4月の勉強会は現代的な問題である高齢化社会に焦点を当てた桜美林大学大学院生の松永博子さんの発表です。

 なかなか老後の精神的な準備というものはできないものですが、松永さんのテーマは大変ユニークなものです。

 多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 5月は心理療法、カウンセリング理論がご専門の元共栄大学教授山田博夫先生に「NLP(神経言語プログラミング)と仏教理論の統合化について」と題して発表いただきます。ご期待ください。  なお、5月は17日(第3土曜日)となりますので、ご注意ください

せばな・石橋清人

勉強会終了後、食事会を予定しております。

 ご都合のよろしい方はご参加ください。

勉強会発表者の募集について

  本メールの最後に詳細を記載いたしましたので、ご参照ください。

第105回仏教と心理学等の接点を追求する勉強会

テーマ:中年期にある人の自己老後像と関連要因の質的研究

発表者:松永博子さん(桜美林大学大学院老年学研究科)

プロフィール:1966年 静岡県下田市 生まれ

      武蔵野女子大学 短期大学部 文科国分専攻

      武蔵野大学 通信教育部 人間関係学科心理専攻 卒業 学位 人間学

      武蔵野大学大学院 通信教育部 人間学研究科 修了 修士 人間学

      桜美林大学大学院 老年学研究科 博士後期課程3年在学

日 時:4月26日(土): 4時~6時(当日3時30分から入室できます)

場 所:武蔵野大学・武蔵野キャンパス 仏教文化研究所6号館5階

     東京都西東京市新町1120

    連絡電話番号:042-468-3145

参加費:無料(申し込み不要)

連絡先:[email protected]

 (学会本部。質問等はこちらに、当日3:30PMまでにお願いします。)

研究要旨:中年期にある人の自己老後像と関連要因の質的研究

      -積極型と消極型、反面教師型の対比から-

【目的】

  本論は,中年期にある人の高齢者観が自己老後像(自己の老後像)や,向老意欲(老後に向かう意欲)にど のように影響を与えるのかを明らかにする事を目的とする.

【研究方法】

1対象者:研究担当者(松永博子)の機縁法による,44歳から56歳の男女21名を研究全体の対象とした(本論の対象はその内の9名であった).

2調査方法:半構造化面接によるインタビューを行った.

3調査期間:201210月から20131

4分析方法:インタビュー調査を終えた後,作成した逐語録を基にKJ法を用いて統合のプロセスと図解化,叙述化を行った.21名の1次分析の後,それぞれの概念図から5つの型が見出された.そこで,見出された型ごとに自己老後像と向老意欲をまとめ,その後,全体を統合させる事から多くの知見が得られると考えた.本論では,消極型(否定的高齢者観を持ち,老いに向けて消極的)4名と,反面教師型(否定的な高齢者観を持つが,向老意欲を持つ)5名,計9名を分析の対象とした.再分析は,自己老後像(向老意欲を含む),高齢者観,自己認知(現在の自己をどうとらえているか)の3つに焦点をあてて行った.

5倫理的配慮:本大学の研究倫理委員会の承認を得た.

【結果】(本要旨ではKJ法の分析のうち,叙述化のみを記す)

1消極型:現状での自己の老化の兆しに,否定的高齢者観が加わり,否定的な自己老後像へというプロセスが見出された.また,否定的自己老後像を持つ人はしばしば漠とした自己老後像を併せ持っている事も明らかにされた.

2反面教師型:現状の自己は否定的高齢者像とは異なるという肯定感が,意欲や行動に繋がり,肯定的な自己老後像になるための意欲が存在した.さらに,高齢期に向かって何か行動している様子も見出された.

3比較(詳細):高齢者観は両型とも否定的であったが,反面教師型の方がより否定的であった.消極型の自己認知は,否定的高齢者観と自己の老化を重ね,さらに否定的な解釈をしてしまう傾向が明らかとなった.反面教師型の自己認知は,生活への不安や迷いを持つが,自己への肯定感が見出された.一歩踏み出したというキーワードから,高齢期への取り組みを始めた事や,何らかのきっかけによって,不安や迷いの生活から前進した事がわかる.自己老後像については,あいまいな自己老後像を持つという点については共通していた.しかし,反面教師型は,否定的高齢者観からの影響によって,より前向きに高齢期に向けて取り組もうという意欲が見出された.

【考察】

 これまで,否定的な高齢者観は,看護や福祉分野におけるサービスの低下に影響するとされ,問題視されてきた.けれども本論の結果では,消極型よりも,否定的な高齢者観を持つ反面教師型の方が,向老意欲を持つことが明らかにされた.よって,否定的な高齢者観は,自己に対しては異なる影響を及ぼす事が見出された.また,向老意欲には自己認知が大きく関わっている事も新しい知見の1つである.よって,否定的な高齢者観そのものが問題ではなく,高齢者観と自己認知との関わりの上で,自己認知をいかに肯定的にとらえていけるかが問題である.

(発表者からのメッセージ)

 参加者の皆様

 今回は老年学という分野の発表です。老年学というのはアメリカで発生した学問分野でまだ、40年程度の歴史しかないのですが、一言でいえば、高齢期をいかに生きるかということを考える学問だといえると思います。

 老年学の研究分野は医学、看護、福祉、介護等、学際的でありますが、私のアプローチは、老年心理学分野にあります。

 私の研究は、他の方とは少し目線を変え、中年期にある人が高齢期をどのように考えているのかということを明らかにしようと試みています。そこには、中年期から高齢期を見据える事がより良い高齢期につながると考えているからです。

 そして、この試みによって、最終的には、前向きに高齢期に生きるカギや前向きに出来ないカギを見出し、啓発的な試みをすること(啓発的老年学)を生涯の研究目標としています。

 その背景には、4月1日から消費税が上がりましたが、このように我々の高齢期は経済的にも厳しいことが予想されます。消費税にとどまらず、高齢者医療制度の負担額も増え、介護保険も値上がりは必至で、これまでのように利用できるとは言えない状況です。

 そのような高齢期を生き抜くためにも、より積極的に主体的に自分自身の老後を構築していく姿勢が求められるのではないでしょうか。

 わずかな時間ですが、一緒に考えて下さると幸いです。

 松永 博子

 勉強会発表者募集次第

 以下は、基本的な発表の次第です。

 発表は4時から1時間程度で、その後1時間で参加者の小グループごとでの意見交換をしていただきます。

 ご発表いただける方には具体的にご相談させていただきます。

 発表内容その他について疑問などありましたら事務局までお尋ねください。

 勉強会の大まかなテーマは次のとおりです。

 ・心理学(心理療法等を含む)と仏教に関連する発表(心理学・仏教単独でもよい)

 ・上記に関する本の紹介など(講読)

  ご参考までに文末に過去数回の発表のテーマを紹介させていただきます。

  ご連絡をお待ちしております。

 せばな・石橋清人(事務局)

 連絡は以下のメールアドレスへ

        [email protected]

   又は

        [email protected]

過去の発表テーマ

 第90回・91回 「アメリカ仏教と心理学の遭遇-現代社会を省みて」

 第92回 「人間の潜在力-個人尊重のアプローチ」

 第93回 唯識思想における自我構造

 第94回 コントロール方略の発達-日米の文化差と老年的超越

 第95回 聲のコスモロジー(農民芸能と宗教 無境界のはざまから)

 第96回 精神科医 マーク・エプスタイン博士の人物と研究等紹介

 第97回・98回・99回 講読 マーク・エプスタイン「ブッダのサイコセラピー」

 第100回 日本における仏教と心理学の協力の歴史と発展禅心理学を中心に

 第101回 仏教心理学の指向性orientedについてダンマセラピーの理論と技法の視点から

 第102回 禅の基礎

 第103回 初期仏教(原始経典)入門

 第104回 依存症の治療におけるマインドフルネス瞑想の導入-仏教的ルーツと未来の意味合い

(その他のテーマ)

精神保健福祉士のしごとーソーシャルワークの視点からー

自己理解から他者理解へ ~性格タイプの理解~

(購読)フロイトを読む

フォーカシングって何(ワークショップの試み)

(購読)安藤治著「心理療法としての仏教」